大分県の在留外国人の現状と課題：地域別の特徴と今後の展望

地域別の特徴と外国人の分布

別府市：教育都市としての特色

別府市は大分県内で最も多くの外国人が暮らしている都市で、在留外国人数は5,097人にのぼります。特に、留学生が3,145人と多く、別府市の国際色豊かな文化が伺えます。別府市には日本国内外からの学生が集まり、大学や語学学校、専門学校が集中しています。そのため、多様な国籍の人々が生活しており、地域内での国際交流も盛んです。

しかし、留学生の多くが卒業後に地元で就職せず、都市外に流出する傾向も見受けられます。このため、別府市としては、留学生が地域内で活躍できるような就職支援や、地域社会とのつながりを深める取り組みが求められています。

大分市：産業都市としての外国人受け入れ

大分市は4,513人の在留外国人を抱えており、特に技能実習生が1,005人、専門的・技術的分野での在留者が438人と多いのが特徴です。大分市は製造業や医療、観光業など多岐にわたる産業が盛んなため、外国人労働者の需要が高い地域です。また、ここでは日本の技術や知識を学び、地元企業で技術者として活躍する外国人が多く、経済的にも重要な役割を担っています。

大分市は、技能実習生が多いため、実習制度に関する課題や、労働条件の改善が求められています。特に、技能実習生の多くが日本での生活においてさまざまな問題に直面しているため、地域として支援体制を強化することが急務となっています。

中津市と宇佐市：工業地域での外国人労働者の活躍

中津市（2,373人）や宇佐市（1,153人）では、製造業を中心とした外国人労働者の受け入れが進んでおり、特に技能実習生が多い地域です。中津市ではミャンマー国籍の外国人が702人と特徴的で、製造業の需要に応じた人材の確保が行われています。これらの都市は、工業化が進む中で外国人労働者の重要性が増しており、今後も多くの外国人労働者を受け入れることが予想されます。

由布市と豊後高田市：農業や観光業の支援

由布市（733人）や豊後高田市（949人）では、農業や観光業を支える外国人が多く見られます。特に、農業や水産業での外国人労働者が増えており、これらの地域では外国人の就労支援が重要な課題となっています。また、観光業が盛んな地域では、観光案内やサービス業で活躍する外国人スタッフも増えています。

国籍別の構成と特徴

大分県に住む外国人のうち、最も多い国籍はベトナム（19.3%）、次いでインドネシア（12.5%）、中国（12.0%）となっています。これらの国からの外国人は、特に製造業や農業、サービス業に多く従事しています。アジア諸国からの外国人が大半を占める一方で、留学生の多い別府市では、国籍の多様性も顕著です。

在留資格別の分析

大分県の外国人の在留資格を見てみると、最も多いのは「技能実習」資格で、4,861人（26.2%）を占めています。その次に多いのが「身分・地位に基づく在留資格」（3,965人、21.4%）、続いて「留学」（3,913人、21.1%）です。地域ごとに特色がありますが、技能実習生が特に多いのは工業地域であり、留学生が多いのは別府市であることがわかります。