愛知県における外国人在留者の現状と今後の展望（2023年12月時点）

外国人在留者数の増加傾向

 

2023年12月末現在、愛知県の外国人在留者数は304,749人に達しています。これは前年同期比で+19,720人、増加率は6.9%となっており、過去5年間の年平均増加率は約4.5%に上ります。愛知県の総人口に占める外国人在留者の割合は4.1%で、これは全国平均の2.3%を大きく上回っています。さらに、外国人住民が多い都道府県ランキングでは、愛知県は全国で第3位となっており、東京都、大阪府に次ぐ位置にあります。

 

増加の背景

 

愛知県の外国人在留者数増加にはいくつかの要因があります。

 

1. 特定技能制度の導入（2019年）

特定技能制度は、外国人労働者の受け入れを拡大する目的で導入された新しい在留資格です。この制度により、製造業をはじめとするさまざまな業界で外国人の採用が加速しました。特に技能実習生が特定技能に移行するケースが増加しており、この傾向が在留者数増加の一因となっています。

 

2. コロナ後の入国規制緩和

2020年に始まった新型コロナウイルスの影響で、外国人労働者の入国が一時的に制限されましたが、2023年に入って規制が緩和されると、留学生や技能実習生が再び増加しました。

 

3. 製造業の人手不足

愛知県は自動車産業を中心に製造業が盛んな地域であり、慢性的な人手不足が続いています。特に外国人労働者に対する需要が高く、企業が積極的に外国人を受け入れているため、外国人在留者数が増加しています。

 

4. 既存外国人コミュニティの存在

愛知県にはすでに多くの外国人コミュニティが形成されており、これが新たな移住者を呼び込む要因となっています。特にベトナムやブラジルからの移住者が多く、家族単位での移住も目立ちます。

 

国別・地域別の特徴

 

愛知県の外国人在留者は、多様な国籍を持つ人々で構成されています。主にアジア圏からの移住者が多く、特に**ベトナム**からの労働者が突出しています。

国別構成

 

1. ベトナム（75,241人）

ベトナムからの移住者は、愛知県の外国人在留者の約24.7%を占めています。特に製造業での技能実習生や特定技能従事者が多く、20代の若年層が中心です。ベトナムの若い労働力は、製造業の人手不足を支える重要な要素となっています。

 

2. フィリピン（43,961人）

フィリピンからの移住者は、主に製造業以外の業界で活躍していることが特徴です。サービス業や介護業界での就労者が多く、永住者や定住者も増加しています。フィリピン人は、特に女性が多いという特徴があります。

 

3. 中国（43,383人）

中国出身者は、技術・人文知識・国際業務での在留者が多数を占め、特にIT企業や国際業務に従事している人が増加しています。留学生も多く、日本の高等教育機関で学びながら働く人々も少なくありません。

 

4. ブラジル（41,793人）

ブラジルからの外国人は、特に**日系ブラジル人**が多く、永住者や定住者が中心です。自動車産業が盛んな豊田市をはじめ、製造業での就労が目立ちます。家族単位での移住も多く、地域社会に溶け込んでいる人々が多いです。

 

5. 韓国・朝鮮（31,253人）

韓国からの移住者は、特別永住者の割合が高く、長期間日本に住んでいる人が多いです。自営業者や企業経営者も多く、地域社会に根付いている人々が多いのが特徴です。

 

在留資格別の構成

 

愛知県の外国人在留者は、さまざまな在留資格に基づいて滞在しており、その内訳は以下の通りです。

 

1. 技能実習（61,254人）

技能実習生は、愛知県の外国人在留者の約20.1%を占めています。特に製造業や建設業で働く実習生が多く、新規入国者が増加しています。技能実習から特定技能へと移行するケースも多く、今後もこの傾向が続くと予想されます。

 

2. 永住者（60,341人）

永住者は、外国人住民の中で長期間日本に住み続けている人々です。特に日系ブラジル人や韓国系のコミュニティで多く見られます。彼らは地域社会での定住が進んでおり、職業も多岐に渡ります。

 

3. 特定技能（37,179人）

特定技能の在留者は、製造業を中心に増加しています。技能実習から特定技能に移行する人も多く、今後も需要が高まると予想されます。

 

4. 技術・人文知識・国際業務（36,265人）

特にIT関連や多国籍企業で働く外国人が増えており、デジタル人材としての需要が高まっています。

 

年齢・性別構成

 

外国人在留者の年齢層を見ると、20代後半から30代前半の年齢層が最も多く、特に製造業やサービス業で活躍する若年層が目立っています。男性がやや多いものの、女性比率も高く、特にフィリピン出身の女性が多いです。

 

地域別の外国人在留者

 

愛知県内では、特に名古屋市、豊田市、豊橋市、小牧市などの都市で外国人在留者が多く、地域ごとの特性が見られます。

1. 名古屋市（98,745人）

名古屋市は外国人が最も多く、多国籍の外国人が居住しています。留学生やサービス業の従事者も多く、外国人労働者の受け入れが進んでいます。

 

2. 豊田市（19,876人）

自動車産業の中心地である豊田市には、ブラジル人を中心に多くの外国人労働者が集まり、製造業に従事しています。

 

3. 豊橋市（17,234人）

豊橋市では、技能実習生が多く受け

 

入れられており、製造業での就労が一般的です。