はじめに
近年、日本の深刻な労働力不足を背景に、新たな外国人材受入れの枠組みとして注目されているのが「育成就労制度」です。2023年に制度化されたこの仕組みは、従来の技能実習制度とは異なるアプローチで専門的技能を持つ外国人材の育成と活用を目指しています。本記事では、この育成就労制度の概要、特徴、運用のポイント、そして今後の展望について詳しく解説します。

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目次
育成就労制度とは
制度の概要と目的
育成就労制度は、日本企業が海外現地法人や取引先企業などと連携し、現地の人材を日本で一定期間雇用・育成した後、母国に戻って活躍してもらうことを目的とした制度です。技能実習制度が「技術移転による国際貢献」を主目的としていたのに対し、育成就労制度では「グローバル人材の育成」と「日本企業のビジネス展開支援」の二つの側面が強調されています。
従来の制度との違い
技能実習制度との違い:
- 目的: 技術移転による国際貢献 → グローバル人材育成と企業のビジネス展開支援
- 対象職種: 限定的な職種 → より広範な専門職種(ITやサービス業など含む)
- 在留期間: 最長5年 → 最長5年(ただし要件によって異なる)
- 監理体制: 監理団体による管理 → 受入企業による直接的な管理・育成
特定技能制度との違い:
- 目的: 即戦力としての活用 → 育成を前提とした人材開発
- キャリアパス: 日本での就労継続 → 母国での活躍も視野
- 求められるスキル: 入国時点での一定水準 → 育成過程での段階的向上
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育成就労制度の適用条件
受入れ企業の要件
- 資本関係: 原則として現地企業と資本関係があること(例外あり)
- 事業計画: 具体的な育成計画と就労内容の明確化
- 待遇: 日本人と同等以上の待遇保証
- 体制: 適切な受入れ・支援体制の整備
- 実績: 過去の外国人材活用における法令遵守の実績
対象となる外国人材
- 資格: 専門学校以上の教育機関卒業または実務経験2年以上
- 言語: 一定レベルの日本語能力(N4レベル以上が目安)
- 年齢: 原則として18歳以上
- 経歴: 現地での職務経験や専門性の証明
- キャリア計画: 帰国後のキャリアパスの明確化
対象職種とレベル
- IT・デジタル分野: プログラミング、システム開発、データ分析など
- 製造業専門職: 設計、品質管理、生産技術など
- サービス分野: 観光、接客、マーケティングなど
- その他専門職: 会計、法務、人事などの経営支援機能
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育成就労制度のメリット
受入れ企業側のメリット
- 長期的視点での人材育成: 自社の文化や業務に精通したグローバル人材の育成
- 海外展開の基盤づくり: 現地拠点での中核人材の確保
- ノウハウの共有: 日本の技術や業務手法の効果的な移転
- 柔軟な人材活用: 国内人材不足への対応と多様性の確保
- 優秀人材の囲い込み: 長期的な信頼関係構築による人材確保
外国人材側のメリット
- 専門スキルの習得: 日本企業での実践的な技能・知識の獲得
- キャリア構築: グローバルに通用するキャリアパスの形成
- 適正な待遇: 日本人と同等の労働条件と報酬
- 長期的な成長: 段階的かつ計画的なスキルアップ
- 帰国後の活躍: 習得したスキルを活かした母国での就業機会
社会的メリット
- 持続可能な人材循環: 単なる労働力の輸入ではない人材育成の仕組み
- 国際協力の深化: 実質的な技術・知識移転による相互発展
- 産業競争力の強化: 多様な視点や専門性による革新の促進
- グローバルネットワークの構築: 長期的な国際ビジネス基盤の形成
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育成就労制度の運用ポイント
適切な育成計画の策定
- 段階的な育成目標の設定: 短期・中期・長期の明確な目標設定
- OJTとOff-JTの組み合わせ: 実務経験と体系的な研修の両立
- 評価システムの構築: 定期的な進捗確認と評価のフィードバック
- 個別カスタマイズ: 個人の資質や経験に応じた育成内容の調整
- 目標管理: 定量的・定性的な育成目標と評価指標の明確化
効果的な支援体制の整備
- メンターシステム: 専属メンターによる業務・生活両面でのサポート
- 多言語対応: 重要情報の多言語化と通訳支援
- 生活インフラの整備: 住居、医療、金融、教育などの包括的支援
- 心理的サポート: カルチャーショックや孤独感への対応
- 帰国支援: 帰国後のキャリア継続のための準備支援
コンプライアンスの確保
- 労働関連法規の遵守: 労働時間、賃金、安全衛生等の法令厳守
- 入管法対応: 在留資格管理と各種届出の適切な実施
- 差別防止: 国籍を理由とする不当な差別の排除
- 定期的な自己点検: コンプライアンス状況の継続的なモニタリング
- 第三者評価: 外部機関による定期的な評価・監査
成功事例の作り方
- 経営層のコミットメント: トップダウンでの明確な方針と支援
- 部門横断的な協力体制: 人事、総務、事業部門の連携
- 現地法人との緊密な連携: 送出し・受入れの一貫した体制構築
- 中長期的な視点: 短期的な成果よりも長期的な人材育成に注力
- 成功指標の多角化: 単純な業務習熟度だけでなく、多面的な評価
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育成就労制度の課題と対応策
直面する課題
- 制度の認知度不足: 新制度のため企業や人材側の理解が不十分
- 申請・手続きの複雑さ: 各種許認可や申請プロセスの煩雑さ
- コスト負担: 育成や生活支援にかかる初期投資の大きさ
- 現地との連携不足: 送出し側との期待値ギャップ
- 帰国後のフォロー体制: 育成後の活躍機会の不確実性
有効な対応策
- 情報収集と専門家の活用: 最新情報の入手と専門家によるサポート
- 手続きの効率化: 代行サービスや電子申請の活用
- コスト分散と助成金活用: 公的支援制度の積極的活用
- 現地とのコミュニケーション強化: 定期的な情報共有と期待値調整
- 帰国後のネットワーク構築: 卒業生コミュニティの形成と継続的サポート
ベストプラクティスの共有
- 業界団体を通じた情報交換: 同業他社との経験・ノウハウの共有
- 官民連携プラットフォーム: 行政と民間企業の対話の場の活用
- 成功事例データベース: 効果的な取り組みの可視化と共有
- 失敗事例からの学習: 課題と対応策の共有による失敗の予防
- 継続的な改善サイクル: PDCAサイクルによる制度運用の最適化
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育成就労制度の展望と今後の方向性
制度の発展予測
- 対象職種の拡大: より多様な専門分野への適用拡大
- 受入れ数の増加: 企業ニーズに応じた段階的な受入れ拡大
- 制度の簡素化: 手続きの電子化や要件の明確化
- 他制度との連携: 特定技能など他の在留資格との連携強化
- 地域展開: 大都市だけでなく地方への展開促進
国際人材市場の変化への対応
- 送出し国の多様化: 従来のアジア中心から他地域への広がり
- 競争の激化: 世界的な人材獲得競争への戦略的対応
- リモートワークとの併用: ハイブリッド型の人材育成モデルの検討
- デジタルスキルの重視: ITリテラシーを基盤とした専門性開発
- 多国間の人材循環: 日本だけでなく多国間での人材交流の促進
企業の取るべき長期戦略
- 人材育成の内製化: 自社特有の育成プログラムの開発
- グローバル人材マネジメント: 国籍を超えた統合的な人材管理
- デジタル活用による効率化: テクノロジーを活用した育成・管理
- 評価・報酬体系の国際化: グローバル基準の人事制度構築
- サステナブルな人材循環: 環境・社会・ガバナンスの視点を含めた人材戦略
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実践的な導入ステップ
準備段階(3〜6ヶ月)
- 情報収集と内部検討
- 制度理解と社内ニーズの把握
- 経営層の意思決定と予算確保
- 関係部署による検討チームの結成
- 計画策定
- 受入れ計画の立案(人数、職種、期間等)
- 育成カリキュラムの設計
- 各種支援体制の構築計画
- 現地パートナーとの協議
- 現地法人・提携先との連携体制構築
- 候補者の選定基準と方法の確定
- 双方の役割と責任の明確化
導入段階(1〜3ヶ月)
- 申請手続き
- 必要書類の準備と提出
- 関係機関との調整
- 在留資格認定証明書の取得
- 受入れ準備
- 住居・生活環境の整備
- 受入れ部署の準備(メンター選定など)
- オリエンテーション資料の準備
- 候補者との事前コミュニケーション
- 選考・面接の実施
- 来日前教育の提供
- 期待値のすり合わせ
運用段階(1〜5年)
- 受入れと初期適応
- 来日時のオリエンテーション
- 生活セットアップ支援
- 初期研修の実施
- 育成プログラム実施
- 段階的なOJT/Off-JTの実施
- 定期的な評価とフィードバック
- 必要に応じたプログラム調整
- 定期的なフォローアップ
- メンタルヘルスチェック
- 生活状況の確認
- 現地拠点との情報共有
移行段階(3〜6ヶ月)
- 帰国準備
- 帰国後の役割と職務の明確化
- スキル評価と認定
- 移行計画の策定
- ナレッジ移転
- 業務引継ぎと文書化
- 後任者への教育
- 重要関係者との関係構築
- フォローアップ体制の構築
- 定期的な連絡体制の確立
- 継続的な育成・支援の仕組み
- 卒業生ネットワークへの組み込み
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成功事例から学ぶ
IT業界の事例
A社(システム開発企業)の取り組み
- 現地拠点のエンジニアを2年間日本で育成
- 日本のプロジェクト管理手法とコーディング基準を習得
- 帰国後は現地開発チームのリーダーとして活躍
- オフショア開発の品質と効率が大幅に向上
成功のポイント
- 明確な育成目標(技術スキルと管理能力)
- 実際のプロジェクトへの段階的参加
- 日本人エンジニアとのペアプログラミング
- テクニカルスキルと文化的理解の両立
製造業の事例
B社(精密機器メーカー)の取り組み
- 東南アジアの生産拠点スタッフを3年間受入れ
- 品質管理と生産技術の専門知識を習得
- 帰国後は現地工場の品質管理責任者に
- 不良率の大幅削減と生産性向上を実現
成功のポイント
- 「見て学ぶ」から「教える立場」への段階的移行
- 日本の5S・改善活動の体系的理解
- 問題解決手法の徹底訓練
- 定期的な現地工場との連携会議
サービス業の事例
C社(ホテルチェーン)の取り組み
- アジア各国の現地スタッフを1年間受入れ
- 日本式ホスピタリティと運営ノウハウを習得
- 帰国後は現地ホテルの運営マネージャーとして活躍
- 顧客満足度と運営効率の向上を実現
成功のポイント
- 各部門をローテーションする実践型カリキュラム
- 日本人スタッフとのバディシステム
- 現地文化に適応したサービス開発ワークショップ
- 定期的な振り返りと改善提案の機会
まとめ:持続可能な人材育成モデルとしての育成就労制度
育成就労制度は、単なる人手不足対策としてではなく、グローバルな人材育成と企業成長の好循環を生み出す可能性を秘めています。短期的な労働力確保という視点を超え、長期的な視野で人材育成に投資することで、受入れ企業、外国人材、送出し国のすべてがWin-Winの関係を構築できます。
この制度を効果的に活用するためには、以下の点が重要です:
- 明確なビジョンと戦略: 自社のグローバル展開や人材戦略における位置づけの明確化
- 本気の育成コミットメント: 一時的な労働力としてではなく、本気で育てる覚悟
- 文化的相互理解: 一方的な「日本化」ではなく、相互尊重と学び合いの文化
- 継続的な改善: 経験から学び、制度運用を柔軟に改善する姿勢
- 長期的な関係構築: 育成期間終了後も続く人的ネットワークの形成
労働力不足が深刻化し、同時にグローバル競争が激化する中、育成就労制度は日本企業が国際的な人材育成と活用を両立させる重要な選択肢となります。制度の理解を深め、戦略的に活用することで、持続可能な企業成長と国際貢献の両立を実現しましょう。
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