皆さんは日本の相撲世界に活躍しているモンゴル人のインタビューを見ると日本語の発音が聞きやすいなぁと感じた人がいると思う。
モンゴル語と日本語の文法とかなり近いし、ロシアのキリル文字が使われているので日本語の発音も馴染みやすいかも知れない。
私もよく日本のお客さんにモンゴル語についてよく質問されるので、「モンゴル語ってどんな感じ?モンゴルの文字って何?」について簡単にお答えしようと思う。
現在、モンゴル語には現在二つの表記がある。一つは縦書きのモンゴル文字、もう一つはロシア語と同じ横書きのキリル文字。
引用:https://www.tolgoilogch.mn/_fbs1k87i3u
モンゴル文字は、中国は内モンゴル自治区で日常的に使われており、キリル文字はモンゴル国で使われている。キリル文字を使っているため、「ロシア語と似ているんですか?」という質問も受けるのだが、文法的に言うと日本語にかなり近い。
モンゴル文字は12~13世紀頃に、もともと横書きであったアラビア文字系の文字をウイグル人を介して導入したものと言われている。
モンゴル語をキリル文字で書き始めたのは1943年頃になる。
1921年革命が起き、1924年に社会主義政権が成立したのである。
当時、識字率10%以下である原因としてモンゴル文字が槍玉に上がり、モンゴル語を表記する文字としてラテン文字(ローマ字)が「革命の文字」として主張される。
もちろん、モンゴル文字のままでは、旧来の仏教説話などを使って授業をせねばならず、いつまでも社会主義の「新しい考え方」が浸透しないことを危惧したことも原因だとされる。
1930年代初めからラテン文字表記が施行されたが、モンゴル文字派の抵抗がいったんは勝利した。しかし、1930年代後半、スターリンによるテロの余波を受けてモンゴル文字を使い続けることが民族主義的であると弾劾されるようになると雰囲気が一変する。
自らの命を救うためには、皆がラテン文字化を支持せざるを得なくなったのである。
1941年2月ラテン文字表記に対する正式なゴーサインが政府から出されたが、翌月にロシア語と同じキリル文字で表記することが決定される。それもラテン文字表記を決定した政府の同じメンバーによって。
文字を置き換えルールはとある学者1人によって作られたもあり、モンゴル語に似た音がないロシア語の音を表すキリル文字を含め、指定された全キリル文字を漏れなく使わなければならなかった上、数日というかなりの短期間で置き換えルール設定をするよう命令が下ったという話もある。
中国内モンゴルにおいても、キリル文字を採用しようとする動きは1950年代にあったが、1950年代末から表面化し始めた中ソ対立がその運動に影を落とし、いつの間にか止まってしまったようだ。
1980年後半の社会主義崩壊後、モンゴル国(当時モンゴル人民共和国)では再び民族の伝統を評価し、その復活を目指す運動が現れ始める。
その象徴の一つがモンゴル文字であった。キリル文字表記を廃止し、モンゴル文字を復活させる運動が高まる。1992年9月、小学校1年生からモンゴル文字での教育が始まった。
しかし、その子らが3年生に上がる頃には、キリル文字に戻されることになった。数字や化学式などと縦文字表記が合わないこと、そして何より、壊滅的な経済状況の中で、教科書も、そして縦文字で教育する特に理系の教員養成のための予算がないことが理由であった。
引用:https://www.youtube.com/watch?v=VlOHUOFEA3c
こうして、モンゴル国と中国内モンゴルではほぼ同じモンゴル語を使いながら、表記が違うという体制が続いている。
モンゴル国にとってこの900年の歴史で転換されてきてモンゴル文字は後世に残すべきな文化遺産なのだ。