モンゴルは遊牧民族で、人口は307万人で、2割は遊牧民が占めます。家畜は人間数の10倍と言われています。

そのため、食文化は家畜由来の乳製品と肉が主で、野菜や果物はほとん食べません。遊牧民の食事は、夏季は乳製品、冬季は肉を食べる季節による特性があります。

夏季の食は、小麦粉を使った麺料理が多く、干し肉を少量、ダシをとるのに使う程度です。夏はテントを張りながら、牛、ラクダ、馬、山羊や羊などの家畜とともに、あちこち遊牧に行きます。

夏食の乳製品

夏に牛乳、山羊乳、馬乳などで乳製品をたくさん作り、夏食として使います。

牛の乳しぼるとき、子牛は柵に入れられていて、子牛を一匹ずつ出して少し乳を吸わせます。子牛が母牛から離し、母牛の乳を張ると勝手にミルクが大量に出てきます。絞ったミルクを攪拌機に入れバターやチーズ、乳製品を作る準備をします。夏の間に作り置きした乳製品は冬にも使います。夏には冬の準備をしながら、その他、山羊や羊の毛で毛糸を作ったり忙しく過ごします。

 

モンゴルの伝統的なお酒である馬乳酒を作るときも、乳を絞るには、仔馬を紐に繋げておいて、母と離しておかないといけません。

雨が降ると、草が生えるのは嬉しいのですが、馬の乳を絞れないのです。雨の日に繋いでおくと、仔馬の体が冷えてしまうのでそれはできません。馬乳酒は仔馬の飲むべき乳を分けてもらって作るわけですが、草が多く生えない干ばつの年は、分けてもらう余裕がありません。だから、馬乳酒はモンゴル人にとっては貴重なお酒で、元気な草原の味でもあります。

極寒の気候にむけ家畜を鍛えるためにあえて標高の高い寒いところへ移動することもあります。冬は家畜が越冬できるよう山の陰でのんびり放牧をし、家畜の出産シーズンが落ち着く春まで滞在します。モンゴル冬は非常に寒くて、寒さは−40℃近くまで下がります。多くの家畜は秋に用意した干草やわずかに残る草原の草では生き残れず、死んでしまうことも少なくありません。そのため、家畜が最も肥えている秋に家族で冬を越せるだけの家畜を屠殺し、干し肉などにして冬越しの準備を進めます。この越冬先は夏と異なり、屋根付きの家畜小屋のようなものがあることが多く、放牧後の家畜はそこに集められて身を寄せ合って寒さをしのいでいます。生まれたての家畜は家族の寝るゲルに保護されることもあります。

モンゴルではお客様に対する一番のご馳走は馬乳酒と新鮮な羊肉です。

モンゴルでは生きていく糧として家畜の命を奪います。柔らかいという理由で、若い牧畜の肉を食べる西洋文化とは違います。羊を解体するときハンマーで叩かずに、ナイフだけで最初から最後まで血を一滴も無駄にしないで、羊の解体毛を綺麗にとって、肉に血をつけないようにします。新鮮なご馳走として、内蔵を海塩で味付け、茹でて食べ、肉を蒸し餃子などを作って、近所と周りの人々を呼んで御馳走させます。

モンゴルでは夏季に乳製品をたくさん摂ることは、「冬季の肉食で疲れたおなかを白く(きれいにする意味)する」と言われます。