兵庫県における外国人在留者の現状と今後の展望

1. 目次

   • 1 兵庫県の外国人在留者の特徴
   • 2 在留資格別の特徴
   • 3 地域別の外国人在留者の分布
   • 4 外国人労働者を取り巻く課題と対策
   • 5 今後の展望と施策提言

   兵庫県の外国人在留者の特徴

 

兵庫県には多国籍な外国人が住んでおり、主にアジア圏からの移住者が多いのが特徴です。特に、韓国、ベトナム、中国からの在留者が目立ちます。

 

– 韓国からの在留者は35,144人で、特別永住者が多数を占めています。神戸市や阪神間に多く住んでおり、企業経営者や中小企業のオーナーも少なくありません。

 

– ベトナムからの在留者は28,905人と、年々増加しています。製造業や介護分野での需要が高く、特定技能への移行も進んでいます。

 

– 中国からは23,396人が在留しており、IT業界や貿易関連の仕事に従事する者が多いです。

 

一方で、ブラジルやフィリピンなど、南米や東南アジアからの在留者も増えており、地域の労働力を支える重要な存在となっています。

 

2. 在留資格別の特徴

 

兵庫県の外国人在留者の大きな特徴は、**永住者**や**特別永住者**が全体の約46.8%を占めている点です。このことは、兵庫県に長期的に定住している外国人が多いことを示しており、地域との結びつきが強いと言えます。

 

– 特別永住者（韓国・朝鮮出身者が中心）は33,282人で、地域社会の中で重要な役割を果たしています。特に、神戸市や阪神地域には、韓国系の商店やレストランが多く、文化的な影響も色濃く残っています。

 

– 永住者は28,300人で、主にアジア諸国からの移住者です。これらの在留者は、就労に制限がなく、安定した生活基盤を持っています。家族の定住も進んでおり、次世代の育成にも力を入れる必要があります。

 

また、就労関連では、技術・人文知識・国際業務や特定技能、技能実習などの資格を持つ在留者が多く、製造業や介護、建設業などで活躍しています。

 

3. 地域別の外国人在留者の分布

 

兵庫県内で外国人在留者が特に多いのは、神戸市や阪神地域です。

 

– 神戸市内では、中央区を中心に多くの外国人が住んでいます。特に、留学生や専門職が多く、国際色豊かな地域です。また、長田区には韓国系やベトナム系の住民が集まっており、製造業従事者や地元企業を営む外国人も多く見られます。

 

– 阪神地域では、尼崎市が特に外国人の集住地として知られており、製造業に従事する在留者が多いです。西宮市には、留学生や専門職の外国人在留者が多く、教育分野でも活躍しています。

 

– 播磨地域では、製造業の技能実習生や農業従事者が目立ち、特定技能への移行が進んでいます。

 

4. 外国人労働者を取り巻く課題と対策

 

兵庫県の外国人在留者数は増加していますが、それに伴い、いくつかの課題も浮き彫りになっています。

 

教育分野

– 外国人の子どもに対する**日本語支援**が課題となっています。母語を使いながら学べる環境の提供が求められており、特に進路指導やキャリア支援が不足しています。

– 成人向けの日本語教育や職業訓練の充実が求められています。生涯学習の機会を増やし、就職支援や資格取得のサポートが必要です。

 

就労支援

– 外国人労働者の権利保護や待遇改善が課題です。特に、技能実習生や特定技能の労働者は、労働環境や賃金に関する問題が指摘されています。これらの労働者が日本社会に定着できるよう、適切な支援体制が整備されることが求められます。

 

生活支援

– 医療・福祉の多言語対応や、住宅の確保が重要な課題です。特に、外国人が安心して暮らせる社会を作るためには、行政サービスの多言語化や、医療通訳の整備が欠かせません。

 

5. 今後の展望と施策提言

 

兵庫県における外国人在留者は、今後も増加が予測されます。特に、デジタル人材や介護分野での需要が高まる中、外国人材の確保と育成が重要です。

 

短期的課題（1-2年）

– コロナ後の受入れ体制の整備や、住環境、就労支援体制を強化することが必要です。

– 技能実習生の**待遇改善**や、特定技能への円滑な移行を支援する施策が急務です。

 

中長期的展望（3-5年）

– 産業構造の変化に対応し、デジタル人材や介護職員、高度専門職の確保が求められます。

– 多文化共生社会の深化に向けて、地域社会との連携や文化交流の促進が重要です。

 

施策提言

– 行政サービスをワンストップ窓口で提供し、オンラインサービスの多言語化や相談体制の強化を図ります。

– 企業支援として、採用支援や異文化理解促進、研修制度の充実が必要です。

– 地域づくりでは、多文化交流イベントや防災訓練の実施、次世代育成に向けた取り組みが重要です。