愛媛県の在留外国人の現状と推移：多文化共生の実態に迫る

在留外国人数の推移：30年で5倍の増加

愛媛県における在留外国人数は、平成元年（1989年）の約3,000人から、令和5年（2023年）には15,054人に達しています。特に1990年代後半からの増加が顕著であり、平成10年（1998年）以降、外国人の居住者数は急速に増加しました。この背景には、地域経済の国際化や、労働力の不足を補うために外国からの人材が求められている現状が影響しています。

国籍別の在留外国人：アジア諸国が主力

愛媛県の在留外国人の大部分はアジア諸国出身です。特に上位5カ国の在留者が全体の約80%を占めており、その内訳は以下の通りです：

1. ベトナム：4,005人（26.6%）
2. フィリピン：3,105人（20.6%）
3. 中国：2,584人（17.2%）
4. インドネシア：1,152人（7.7%）
5. 韓国：1,043人（6.9%）

これらの国々からの在留者は、主に製造業やサービス業などの分野で活躍しており、愛媛県の産業を支える重要な役割を果たしています。

愛媛県の外国人の多様性：意外な国からも

一方で、愛媛県にはアジア諸国以外の地域からも在留外国人が居住しています。例えば、ブラジルやペルーなどの南米諸国からの在留者も一定数を占めています。ブラジルからは240人が在住しており、かつては日系ブラジル人が多かった地域でもあります。最近では、ミャンマーやカンボジア、バングラデシュなど、東南アジアや南アジアからの在留者も増えてきています。

また、ヨーロッパ諸国や中東諸国からの在留者も見られ、例えば英国（66人）、フランス（28人）、トルコ（数人）などがその一例です。これらの外国人が持ち込む文化や習慣は、地域の多文化共生において重要な要素となっています。

愛媛県の外国人コミュニティの特徴

愛媛県における外国人コミュニティの特徴は、その多様性にあります。104カ国からの外国人が居住しているため、愛媛県内では多文化共生が進んでいると言えるでしょう。ただし、その一方で、人口の大半が特定の国からの移住者に集中していることも事実です。

例えば、上位5カ国だけで全体の79%を占めており、特にベトナム、フィリピン、中国からの移住者が多いことがわかります。この偏りを緩和し、さまざまな国籍の外国人がより均等に地域社会に溶け込むことが今後の課題です。

今後の課題と展望

愛媛県では、外国人の増加が地域の活力を高める一方で、以下のような課題も浮かび上がっています：

1. 特定の国籍への偏り
   特にベトナム、フィリピン、中国からの外国人が多くを占めているため、他の国からの移住者の受け入れ促進が求められます。
2. 少数派への支援体制の強化
   少数国籍の在留者に対しては、文化的な支援や日本語教育の充実が必要です。また、孤立を防ぐための地域づくりが求められます。
3. 相互理解と共生の促進
   外国人と日本人の文化的な違いを理解し、地域社会全体で多文化共生を促進するための施策が重要です。例えば、国際交流イベントや言語サポートの拡充などが挙げられます。