広島県の在留外国人の実態 ～データから見える多様化する外国人材～

1. 広島県の外国人労働者数：全体像

2023年10月末現在、広島県の外国人労働者数は44,093人に達し、これは全国の外国人労働者数（2,048,675人）の約**2.2%を占めています。特筆すべきは、技能実習生の割合が39.0%**を占めており、全国平均（20.1%）を大きく上回っている点です。これは、広島県が製造業やサービス業を中心に、外国人労働者を積極的に受け入れていることを示しています。

2. 国別の特徴と在留資格の傾向

広島県の在留外国人の国籍別特徴を見てみましょう。

ベトナム（14,603人）

ベトナムは、広島県内で最も多い外国人国籍で、全体の33.1%を占めています。特に、技能実習生が8,730人と、ベトナム人の約60%を占めており、製造業などで活躍しています。また、ベトナム人の中で専門的・技術的分野で就労しているのも3,087人と多く、専門人材の受け入れも進んでいます。

フィリピン（7,473人）

フィリピン人は広島県内で2番目に多い外国人グループで、7,473人が在留しています。特徴的なのは、身分に基づく在留資格が2,909人と多く、技能実習生としての在留者も2,563人と一定数存在しています。フィリピン人は、介護や医療などの分野で活躍することが多いです。

中国（7,183人）

中国人の在留者は7,183人で、広島県内で3番目に多い外国人グループです。中国人は、バランスの取れた在留資格分布が特徴で、永住者等の身分に基づく在留資格が2,759人、留学生等の資格外活動が1,662人、専門的職業として働く人が1,581人と、多様な分野で活躍しています。

3. 地域別の分布状況

広島県内での在留外国人の分布には、明確な地域特性が見られます。

広島市（20,316人）

広島市は、県内で最も多くの外国人在留者が集まる地域で、20,316人が在留しています。特に、**中区（4,479人）と西区（4,202人）**に外国人が集中しており、これは教育機関や企業が多いことに起因しています。都市部では、専門職や留学生が多く、特にIT分野や研究職などで働く外国人が増加しています。

福山市（9,967人）

福山市は、製造業が盛んな地域であり、外国人労働者の受け入れが多いです。特に、技能実習生が多く、製造業や関連業種での就労が中心となっています。福山市の外国人労働者は、技術実習や製造業での実績を積むことが多く、地域経済に重要な役割を果たしています。

東広島市（8,324人）

東広島市には、大学が立地しており、留学生が多いことが特徴です。また、製造業も盛んな地域で、技能実習生が多数在留しており、産業と教育の両面で外国人材の活躍が見られます。

4. 在留資格別の特徴

広島県の在留外国人における資格別特徴を見てみましょう。

技能実習（17,204人、39.0%）

広島県の外国人在留者数の中で、最も多い在留資格が**「技能実習」**で、17,204人が登録されています。主に製造業やサービス業で活躍している実習生が多く、特にベトナムからの実習生が中心となっています。

専門的・技術的分野（9,595人、21.8%）

次に多いのは、専門的・技術的分野で働く外国人で、9,595人（全体の21.8%）が在留しています。特に、エンジニアやIT人材などが増加傾向にあり、これは広島県の産業構造の高度化を反映しています。

身分に基づく在留資格（9,236人、20.9%）

永住者や特別永住者など、身分に基づく在留資格を持つ外国人が9,236人にのぼり、そのうち永住者は6,483人と定住化が進んでいます。この傾向は、地域社会への外国人の定着を示しており、今後の社会融和に重要な要素となります。

5. 今後の展望と課題

広島県における外国人材の受け入れは、今後も多様化が進むと予想されます。特に、技能実習生から専門的・技術的な人材への移行が加速し、県内産業の高度化が求められます。

• 多様化する人材ニーズ: 広島県では、技能実習生だけでなく、専門的な知識や技術を持った外国人材の受け入れが進んでいます。特に、ITやエンジニアリングなどの分野での外国人労働者のニーズは今後さらに高まるでしょう。
• 地域による特性の違い: 都市部では専門職や留学生が多く、製造業が盛んな地域では技能実習生が中心となります。地域ごとの特性を踏まえた受け入れ体制の整備が今後の課題となります。
• 多文化共生の推進: 外国人の定住が進む中で、多文化共生社会の実現に向けた取り組みが重要です。地域住民との交流を深めるための施策や、外国人の労働環境の整備が求められます。