山口県の在留外国人の実態分析 ～特徴的な産業構造と多様な人材～

1. 目次

   • 1 山口県の外国人在留者数：全体像
   • 2 国別の特徴
   • 3 在留資格の特徴
   • 4 産業別の特徴
   • 5 山口県の特徴的な傾向
   • 6 今後の展望と課題

   山口県の外国人在留者数：全体像

2022年12月末時点で、山口県の在留外国人数は17,394人に達しています。この数字は県内の多様な産業において外国人労働者の重要性が高まっていることを示しています。特に注目すべきは、韓国（26%）とベトナム（24%）出身の在留者が全体の約半数を占めていることです。これは、山口県の歴史的背景や地理的要因が影響している可能性があります。

2. 国別の特徴

山口県の在留外国人の国別内訳は以下の通りです：

1. 韓国：4,519人（26%）
2. ベトナム：4,134人（24%）
3. 中国：2,278人（13%）
4. フィリピン：1,714人（10%）
5. インドネシア：950人（5%）

特筆すべき点は、韓国籍の外国人が多くを占めていることです。この点については、山口県の地理的な近さと歴史的なつながりが影響していると考えられます。韓国からの移住者は、特に定住者や特別永住者の割合が高いことが特徴です。

3. 在留資格の特徴

山口県の外国人在留者の主な在留資格は以下の通りです：

• 特別永住者：4,561人（26.2%）
• 技能実習：3,767人（21.7%）
• 永住者：2,712人（15.6%）
• 留学：1,540人（8.9%）
• 特定技能：1,128人（6.5%）

ここで注目すべきは、特別永住者と永住者の割合が合わせて41.8%に達しており、これが山口県における外国人の定住化を示しています。定住化が進むことにより、地域社会との融合やコミュニティ形成が進んでいると考えられます。

4. 産業別の特徴

山口県における外国人労働者（9,165人）の産業別分布は次の通りです：

• 製造業：32.9%（全国32位）
• 卸売業・小売業：22.7%（全国1位）
• 建設業：12.4%（全国1位）

特に、卸売業・小売業と建設業において、山口県の外国人労働者の比率が全国1位である点が注目されます。製造業の割合は全国平均（26.6%）を上回っており、山口県では外国人がさまざまな業種で重要な役割を果たしています。特に、卸売業・小売業や建設業では、外国人労働者の活躍が不可欠です。

5. 山口県の特徴的な傾向

山口県における外国人の特徴的な傾向をいくつか挙げてみましょう。

1. 定住者が多い

特別永住者や永住者の割合が高く、地域に根付いた外国人コミュニティが存在しています。特に、韓国籍の定住者が多く、山口県内での地域社会への統合が進んでいます。また、家族滞在（3.7%）や日本人配偶者等（3.2%）も一定数存在し、家族単位での移住者が多いことも特徴です。

2. 産業構造の特徴

山口県の産業構造は、卸売業・小売業や建設業が外国人労働者に依存している傾向が強いです。特に、建設業の割合が全国1位であり、外国人労働者がこの分野で重要な役割を果たしています。また、製造業においても外国人労働者の活躍が目立ち、地域経済における外国人労働力の依存度が高いことがわかります。

3. バランスの取れた人材構成

山口県では、技能実習生から専門職まで幅広い職種にわたる外国人材の受け入れが進んでおり、留学生も一定数存在しています。このように、外国人労働者の構成がバランスよく多様化していることは、山口県の社会的な国際化の進展を示しています。

6. 今後の展望と課題

山口県における外国人労働者の受け入れは、今後ますます重要な課題となるでしょう。以下のポイントが今後の展望として挙げられます。

1. 多文化共生の推進

定住者が多いことを活かして、地域交流や生活支援体制の充実が求められます。外国人住民と地域住民の交流促進のための施策が今後さらに重要となるでしょう。また、多文化共生社会の実現に向けた取り組みが必要です。

2. 産業における外国人材の活用

特に小売業や建設業において、外国人労働者のニーズが高まる中で、技能実習生から特定技能への移行支援を行うことが、外国人材の定着と労働環境の改善に繋がります。

3. 地域特性を活かした施策

山口県は韓国との歴史的なつながりが深い地域であるため、韓国との交流促進をさらに強化することが地域活性化に寄与するでしょう。また、他の国籍の人々が共生できる環境づくりにも力を入れることが、持続可能な社会の構築に繋がります。