宮崎県における在留外国人の実態：10年間の変遷と現状

宮崎県の在留外国人数の変遷

まずは、過去10年間における宮崎県の在留外国人数の推移を見てみましょう。
2013年（平成25年）には4,262人だった在留外国人数が、2022年（令和4年）には8,309人にまで増加しています。驚くべきことに、この10年間でおよそ2倍に増えたことになります。

• 2013年（平成25年）：4,262人
• 2017年（平成29年）：5,783人
• 2019年（令和元年）：7,850人
• 2022年（令和4年）：8,309人

特に注目すべきは、ベトナム出身の外国人の急増です。技能実習生を中心に、たくさんのベトナム人が宮崎県で働いている現状があります。

宮崎県内の外国人の分布状況

外国人が住んでいる場所を見てみると、やはり県庁所在地である宮崎市が最も多く、次いで都城市となっています。

• 宮崎市：32.4%
• 都城市：22.2%
• 小林市：6.9%
• 延岡市：6.1%
• 日南市：5.1%

宮崎市や都城市は、都市部として教育機関や産業の集積地があるため、外国人の集住地として自然と選ばれることが多いようです。

在留資格別の構成

次に、在留外国人が持っている在留資格について見てみましょう。最も多いのは「技能実習生」で、全体の約40%を占めています。これに続くのは「永住者」や「特定技能」を持つ外国人です。

• 技能実習：39.4%
• 永住者：14.8%
• 特定技能1号：10.4%
• 留学：8.6%

この中でも、特に技能実習生の増加が顕著です。農業や製造業、介護などで外国人の労働力が欠かせない状況となっていることが分かります。

国籍別の動向

宮崎県における在留外国人の国別分布も見てみましょう。特に多いのはベトナム出身者で、令和4年には2,580人に達しています。これは、技能実習制度を通じて宮崎県で働くベトナム人が急増した結果です。

• ベトナム：2,580人
• 中国：1,023人
• フィリピン：892人

また、留学生も安定的に受け入れられており、ネパールや韓国からの留学生が増えています。留学生が増えることは、地域の多文化交流にもつながり、地方創生にとっても大きな意味を持っています。

宮崎県の外国人受け入れにおける課題

1. 産業構造との関連

宮崎県では、農業や製造業が主な産業となっており、これらの分野で技能実習生が多く受け入れられています。しかし、長期的には、外国人が定着できるような支援が重要です。特に、技能実習生が「特定技能」への移行をスムーズに行えるような体制の整備が急務です。

2. 教育機関との連携

外国人の受け入れにおいて、教育機関との連携が非常に重要です。宮崎県では、留学生やその家族に対して、日本語教育や就職支援を強化していますが、まだ十分ではない部分もあります。今後はさらに日本語教育や就職支援の充実が求められます。

3. 地域的な偏り

宮崎市や都城市に外国人が集中していますが、これをどう解消するかも重要な課題です。地方部でも外国人を受け入れる体制を整えることが、地域活性化につながります。

今後の展望と解決策

今後は、以下のような取り組みが必要とされています。

1. 人材の定着促進
   技能実習から特定技能への移行支援や、永住者の増加に対応したコミュニティ形成が必要です。
2. 産業別の対応
   農業や製造業においては、外国人材のスキル向上支援が重要です。また、サービス業など新たな分野での活用も期待されています。
3. 多文化共生の推進
   日本語教育の充実、生活支援体制の整備、そして地域住民との交流を促進することが、多文化共生社会の実現に向けて大切です。