佐賀県における在留外国人の現状と展望：データから見る地域の国際化

佐賀県の在留外国人数の推移

総数の変遷（過去7年間）

佐賀県の在留外国人数は、過去7年間で大幅に増加しました。具体的な推移は以下の通りです：

• H27（2015年）：4,536人
• H28（2016年）：5,140人
• R2（2020年）：7,204人
• R4（2022年）：6,394人
• R5（2023年）：7,785人
• R6（2024年7月）：10,264人

特徴的な傾向

1. 急速な増加
   • 2015年から2024年にかけて、在留外国人数は約2.3倍に増加。特に2023年から2024年にかけては約32%という大幅な増加を記録しました。
2. コロナ禍の影響と回復
   • 2020年の新型コロナウイルスの影響で一時的な減少がありましたが、2023年から急速に回復。これは外国人労働者の需要の高まりと、地元経済の復興が影響していると考えられます。

佐賀県の在留外国人：国籍別構成（R6年7月現在）

主要な出身国と割合

• ベトナム：28%（約2,874人）
• インドネシア：15%（約1,540人）
• ネパール：12%（約1,232人）
• 中国：10%（約1,026人）
• ミャンマー：9%（約924人）
• フィリピン：9%（約924人）
• 韓国：5%（約513人）

特徴的な傾向

1. アジア諸国の優位性
   • 在留外国人の約90%がアジア諸国出身。特にベトナム、インドネシア、ネパールの在留者が全体の55%を占め、東南アジアからの移住者が多いことが特徴です。
2. 多様化の進展
   • 中国や韓国といった従来の主な出身国に加えて、スリランカ（2%）、カンボジア（1%）、米国（1%）など、多様な国籍の在留者が増加しています。

佐賀県の特徴的な動向

1. 急速な国際化

佐賀県の在留外国人は、全国的な増加率を上回る成長を示しています。特に直近では急速な増加が顕著であり、これは地域経済の活性化や労働力需要の高まりと密接に関連しています。

2. アジア諸国への依存

在留外国人の約90%がアジア諸国出身で、特にベトナム、インドネシア、ネパールからの移住者が多数を占めています。この地域的な偏りは、今後の多文化共生社会の形成に向けた課題となり得ます。

3. 多様化の進展

これまで中国や韓国を中心とした出身国構成から、スリランカやカンボジアなど新興国からの移住者が増加し、多文化共生の重要性が増しています。この多様化は、地域文化や社会の多元化を推進する一方で、相互理解や文化交流の重要性を再認識させます。

今後の課題と展望

1. 受入れ体制の整備

急増する在留外国人に対して、佐賀県では支援体制の強化が求められます。

• 多言語対応の強化
  • 在留外国人の急増に伴い、行政手続きや地域サービスの多言語対応が不可欠です。特に、地方の自治体での外国語対応スタッフの充実が必要です。
• 住宅・医療・教育面でのインフラ整備
  • 外国人の増加に伴い、住居や医療、教育など生活基盤を支えるインフラの整備が急務です。特に外国人労働者の家族向けの支援や、地域の教育機関における多文化教育の充実が求められます。

2. 多文化共生の推進

佐賀県では、外国人住民との共生を推進するための取り組みが重要です。

• 地域コミュニティとの交流促進
  • 地元住民と外国人住民との交流を深めるためのイベントやプログラムが重要です。例えば、地域の祭りやイベントで外国人住民が参加する機会を増やすことが、相互理解の促進につながります。
• 文化的な相互理解の促進
  • 異文化理解を深めるための教育や研修、ワークショップの開催が必要です。また、外国人住民が日本の文化や習慣を学びながらも、自国の文化を尊重し合えるような環境づくりが求められます。
• 差別・偏見の防止
  • 地域社会における差別や偏見をなくすための啓発活動が不可欠です。教育機関や地域活動を通じて、多文化共生の重要性を広めていくことが求められます。

3. 持続可能な国際化

• 技能実習生から長期在留者への移行支援
  • 佐賀県における外国人労働者の多くは、技能実習生として働いています。これらの実習生が長期的に地域に定着するための支援体制の強化が必要です。就労ビザや定住支援プログラムの充実が重要です。
• 地域産業との連携強化
  • 農業や製造業など、佐賀県の地域産業における外国人労働者の受け入れ体制を強化するため、企業と連携した研修やサポートプログラムが求められます。
• 多様な国籍からの受入れ体制整備
  • ベトナムやインドネシアに偏った国籍構成を多様化するためには、他国からの移住者受け入れ体制を整えることが重要です。