滋賀県の外国人住民の実態分析 – 過去最多を更新し、ベトナムが最多国籍に

2. 全体的な動向

2023年12月末現在、滋賀県における外国人住民数は39,366人となり、前年の36,158人から約8.9%増加しました。これは過去最多の増加数を記録したことを示しており、外国人住民の存在感がますます大きくなっていることがわかります。
滋賀県には105の国・地域からの住民が居住しており、地域社会の多様性が進んでいる一方、前年に比べて3カ国・地域が減少しています。こうした変化は、県内での移住の傾向や国際的なつながりに影響を受けていると考えられます。

3. 国籍別の特徴と変化

外国人住民数を国別に見ていくと、以下のような特徴があります。

外国人住民数TOP5：

1. ベトナム：9,585人（24.3%）
   • 初めてベトナムが最多国籍となりました。前年比で1,497人増加し、増加率も高いです。
2. ブラジル：9,251人（23.5%）
   • 伝統的に多かったブラジル人コミュニティは依然として強い影響を持っています。
3. 中国：4,740人（12.0%）
   • 中国からの住民も多く、安定した人口を維持しています。
4. 韓国：3,724人（9.5%）
   • 韓国からの住民も引き続き多く、特に県内の経済活動に貢献しています。
5. フィリピン：3,165人（8.0%）
   • フィリピンからの住民は、他の国に比べると増加率は穏やかですが、安定した人口層を形成しています。

ベトナムからの移住者が急増しており、特に若い世代が多いことが影響していると考えられます。また、インドネシアからも733人の増加が見られ、東南アジア圏からの人口流入が顕著になっています。

4. 在留資格別の構成

滋賀県における外国人住民は、さまざまな在留資格を持っています。特に注目すべきは、以下のような特徴です：

• 永住者：10,569人
  • 滋賀県内で最も多い在留資格です。永住者の増加は、定住化が進んでいることを示唆しています。
• 技能実習生：5,743人（前年比1,211人増）
  • 技能実習生の数が急増し、増加率が最大です。この増加は、労働力としての需要が高まっていることを反映しています。
• 定住者：4,948人
  • 定住者の数は安定しており、移住後の生活が定着していることが伺えます。
• 技術・人文知識・国際業務：4,617人
  • 特に国際的な業務や技術分野で働く外国人が増えており、グローバルな視点での貢献が期待されています。

5. 年齢構成の特徴

滋賀県の外国人住民の年齢構成を見てみると、特に若年層が中心であることが分かります。以下は外国人住民の年齢別人口です：

• 25-29歳：6,912人（17.6%）
  • 最も多い年齢層です。若い世代が多く、労働市場への参加が活発です。
• 20-24歳：5,837人（14.8%）
  • 学生や若手労働者が多い層で、就労や学業を中心に活動しています。
• 30-34歳：5,373人（13.6%）
  • 労働市場において中堅層として活躍している年代です。
• 35-39歳：3,368人（8.6%）
  • 労働者としての経験が豊富な層であり、社会の支え手となる重要な存在です。

このように、滋賀県の外国人住民は生産年齢人口が中心であり、特に若年層が多いことが特徴です。これにより、労働市場の活性化や地域経済への貢献が期待されています。

6. 特徴的な傾向

滋賀県における外国人住民の増加にはいくつかの特徴的な傾向があります：

• 東南アジアからの増加：特にベトナムやインドネシアからの住民の増加が顕著で、労働力としての需要が高いことが背景にあります。
• 技能実習生の増加：滋賀県内での技能実習生の数が急増しており、製造業や農業など、様々な分野での労働力確保が進んでいます。
• 若年層の多さ：外国人住民の大半が20代から30代前半であり、地域の活力を支える存在です。また、若い世代が多いため、教育や支援体制が重要になっています。

7. 今後の展望と課題

今後、滋賀県の外国人住民数はさらに増加することが予想されます。これに伴い、以下のような課題が浮き彫りになります：

• 多文化共生社会の構築：外国人住民との共生を進めるため、教育や福祉、生活支援などの体制強化が求められます。
• 労働環境の整備：技能実習生の増加に伴い、労働環境の改善や適正な待遇が重要な課題となります。
• 教育支援ニーズへの対応：若い世代が多いため、学校教育や日本語教育の充実が求められます。
• 定住化の促進：永住者や定住者が増加していることから、地域社会の一員としての定住促進施策が重要です。