徳島県における外国人在留の現状分析 – 2023年6月データから見える特徴

急増する外国人在留人数

徳島県の外国人在留人数は、2023年6月末時点で7,343人に達しています。これは1990年の1,100人から比べて、実に640%もの増加を見せており、過去30年以上で顕著な変化を遂げています。この急増は、特に近年の10年間に顕著で、2013年の5,002人からさらに1,300人以上の増加を記録しています。

この増加の背景には、徳島県内の産業構造の変化や、労働力不足を補うための外国人労働力の需要増加が影響していると考えられます。

外国人の出身国別傾向

徳島県に在留する外国人の約9割がアジア諸国出身であるという特徴が見られます。主な出身国の内訳は以下の通りです：

• ベトナム：2,098人（29%）
• 中国：1,546人（21%）
• フィリピン：871人（12%）
• インドネシア：723人（10%）

特に注目すべきは、ベトナム人が約3割を占め、最大のコミュニティとなっている点です。ベトナムからの移住者が増えている背景には、技能実習生制度や特定技能制度の拡充に加えて、徳島県の農業や製造業などでの需要が関係していると考えられます。

また、アジア諸国以外では、アメリカからの在留者が最も多く、188人（2%）となっていますが、その数は依然として少数派です。

在留資格別の分布

在留資格別に見ると、徳島県における外国人の多くは労働力としての側面が強いことが分かります。主な在留資格別の人数は以下の通りです：

• 技能実習生：2,470人（34%）
• 永住者：1,421人（19%）
• 特定技能：784人（11%）
• 就労：786人（11%）
• 留学生：566人（8%）

特に技能実習生が全体の約3分の1を占めるという点は、徳島県の産業が外国人労働力に依存していることを示しています。農業や製造業での需要が高く、これらの業界において外国人労働者が重要な役割を果たしていることが背景にあります。

一方で、永住者や定住者の割合も高まっており、外国人労働者が単なる短期的な労働力としてではなく、地域社会に定着する傾向も見られます。

定住外国人の増加と共生の課題

徳島県における外国人の定住化が進んでおり、永住者や特別永住者、定住者を合わせると全体の約**23%**に達しています。この増加は、単なる一時的な労働力ではなく、地域に根を張り、生活の基盤を築く外国人が増えてきたことを示しています。

定住外国人の増加に伴い、今後は多文化共生の重要性がさらに高まると予想されます。言語の壁や文化的な違いが障害となることもありますが、教育や生活支援の充実、地域社会での相互理解を深める取り組みが求められるでしょう。

今後の展望と課題

徳島県における外国人在留者の急増は、今後も続くと予想されます。特に、技能実習生の受け入れや特定技能外国人の増加が見込まれ、産業における外国人労働力への依存は強まるでしょう。

しかし、外国人労働者が地域社会に定着し、多文化共生を進めるためには、教育や福祉、行政のサポートが不可欠です。また、言語の壁を越えてコミュニケーションが円滑に行えるよう、地域全体での協力体制の構築が求められます。